【“綺麗すぎない色気”を仕立てる】
ヴィンテージモヘアとベルベットが生む、唯一無二のタキシード
タキシードというと、
黒のシルクラペルに、端正でクラシックなフォーマルスタイルを思い浮かべる方が多いかもしれません。
もちろん、それはタキシードの完成された美しさのひとつ。
ですが、本当に魅力的な装いとは、“正しさ”だけでは終わらないものだとVOWCHéRIE(バウシェリー)は考えています。
今回の一着は、柔らかなピンクのヴィンテージモヘアをベースに、
ラペルには一般的な絹ではなく、イタリア「CARNET(カルネ)」のベルベットを採用。
クラシックなタキシードのルールを理解した上で、
あえて素材感に“ズレ”を作ることで、独特の存在感を演出しています。
■ シルクではなく、“ベルベット”を選ぶ理由
通常、タキシードのラペルには拝絹(はいけん)としてシルク素材を使用します。
また、本来であればゴージラインより上の部分は、ウール素材でまとめることがクラシックなセオリーでもあります。
しかし今回のタキシードでは、あえてそのセオリーを崩し、
ゴージラインより上を全てベルベット仕様に。
理由はシンプルで、
この強烈なカラーリングを“綺麗にしすぎない”ためです。
もし通常通りシルクや光沢感の強い素材でまとめてしまうと、
ピンクとオレンジの発色だけが前に出てしまい、少し都会的すぎる印象になる。
だからこそ、ベルベット特有の柔らかさや奥行きを加えることで、
色の強さを中和し、どこか温度感のある空気を演出しています。
このオレンジのベルベットが加わることで、
ピンクモヘアの持つ光沢感に“温度”が生まれる。
カチッとしている。
けれど、どこか柔らかい。
華やかなのに、気取って見えない。
その相反するバランスこそ、このタキシード最大の魅力です。
■ ヴィンテージモヘアだから出せる、“今にはない光沢”
そして、このタキシードの核となっているのがヴィンテージモヘア。
近年のモヘアは、柔らかさや扱いやすさを重視したものが主流になっています。
それは時代として自然な流れですが、昔のモヘアには今とは違う魅力がありました。
それが、“張り”と“鋭い光沢感”。
今回使用しているヴィンテージモヘアは、
現代の生地にはない独特の艶を持っています。
ギラついているわけではない。
けれど、照明を受けた瞬間に強烈な存在感を放つ。
動いた時に生まれる生地のハリ感や反射が、
まるでステージ衣装のような高揚感を演出します。
だからこそ、このベルベットとの組み合わせが成立する。
現代的な綺麗さだけでは、この空気感は出せません。
少し荒々しく、少し色気があり、でもどこか上品。
その絶妙な“違和感”が、この一着を唯一無二にしています。
■ タキシードは、“人柄”まで映し出す
面白いことに、タキシードはその人の性格まで映し出します。
無難に着れば、ただのフォーマル。
けれど、自分らしく着こなした瞬間、その服は“その人のもの”になる。
特にカラータキシードは、サイズ感や素材選びを間違えると、服だけが浮いて見えてしまいます。
だからこそVOWCHéRIEでは、
単純に派手な服を作りたいわけではありません。
その人の雰囲気、立ち姿、話し方、空気感まで含めて設計する。
クラシックを理解した上で崩すからこそ、
本当の意味で“色気のあるタキシード”が完成すると考えています。
■ まとめ
タキシードとは、ただフォーマルな服ではありません。
“どう記憶に残りたいか”を表現する装いです。
今回の一着は、
ヴィンテージモヘアの持つ今にはない光沢感と、
CARNETのベルベットが生む柔らかさを掛け合わせることで、
綺麗すぎない、大人の色気を表現しました。
カチッとしているのに、どこか柔らかい。
華やかなのに、品がある。
そんな相反する魅力を、VOWCHéRIEでは大切にしています。
